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2006年02月17日

●"Avenue Q"はなぜ終演するのか? Las Vegas Sun

 "Avenue Q" @ Wynn の終演が決定したことは昨日ブログで紹介しました が、Las Vegas Sunに関連記事("Avenue Q"のプロデューサーのインタビュー記事)が掲載されていたので紹介します。

 昨日の投稿のコメントに書こうかとも思ったのですが、「なぜ"Avenue Q"が終演しなければならなかったのか」 という分析内容が結構面白いので、ブログ記事として紹介します。

 

Las Vega Sun の記事から

 

 "Avenue Q"がラスベガスでヒットするために必要だったことは、 プールに飛び込む軽業師、サウンドトラックを開放する花火師、アメリカらしさを減らすこと(人種差別よりももっと軽い話題を扱う脚本) そしてたぶん何人かのショーガール。そう、もっとたくさんのショーガール。それがまさに必要なことである。

 しかし、ブロードウェーから直接きたトニー賞受賞ミュージカルは、ラスベガスの主要な生産物を拒否した。そして、スティーブ・ ウインとプロデューサーが期待したウイン・ラスベガス・シアターの1200席よりもはるかに少ないチケットしか売れず、 終了することとなった。

 そして、ウインは今週、あまりうまくいっていない公演を収納し続けるには、 彼の劇場があまりにも貴重な不動産であるとという決定により、アダルト・テーマのパペット・ショーの終演を決めた。

 

 鳴り物入りの9月9日の開演からたった9ヶ月、5月28日に"Avenue Q"が終演することが決められたということは、ストリップ上の劇場で、機能したこと、あるいは機能しなかったことの方が、 ショーに関してどのようなことが言われているかより重要である。

 

 「我々の挑戦の一つは、ラスベガスが国際都市だということだ」"Avenue Q"のプロデューサーであるケビン・マッカラムは、水曜日にニュヨークの事務所との電話によるインタビューの中で言った。

 「ウイン・ラスベガスは特に日本人観光客に人気がある」とマッカラムは強調した。「そして、 "Avenue Q"は非常にアメリカ的な作品である」と彼は言った。 「皮肉とアメリカ的記号に埋め尽くされている」

 「ラスベガスで最も成功しているショーのいくつかは、視覚的であり、英語力を要求しない。シルク・ド・ ソレイユのようなショーと美しいショーガールが出演するショーにおいて、聴衆は聞き取ることを必要としない。」とマッカラムは言った。 「我々は、見るだけの聴衆ではなく、聞き取る聴衆を必要とする。それが、 1週に100万ドルを稼ぐことを妨げたかもしれない」

 公演の88ドルと99ドルのチケットの総売り上げは、劇場を満席にすれば、1週に100万ドルである。最近幕間休憩を取りやめ、 ストリップのファンをとりこむために2,3の歌をやめたラスベガスの公演は、週に50万ドルを稼ぐ。

 「ショーの損益分岐点は、 概算で週に35万ドルである」とマッカラムは言った。「我々は、 財政危機により終演するわけではない。」マッカラムは言った。「われわれは稼いでいる。」

 しかし、ウインの予想からすれば、十分な稼ぎからは遠い。

 「それはニッチ(スキマ)な興行だが、十分にニッチではない。」とストリップ興行者は言った。「"Avenue Q"は、 いつもふさで飾った決定であった - 性に合わない計画的な決定。ニッチ作品であってほしかったけれども、私が望んでいたように、 ならなかった」。

 

 5月にショーを終えることにより、数ヶ月早く公演を終えるために400万ドルから500万ドルを「Avenue Q」 の製作者を支払うことによって、ウィンは、彼が数百万ドルを節約するであろうと言った。

 "Avenue Q"が早めに終演することにより、 ウインはそのスペースをより大きな魅力を持つであろうと期待するブロードウェーのスマッシュヒット「モンティ・ パイソンの"スパムロット"に使わせることができる。

 元の計画では、"スパムロット"の新しい劇場建設により7000万ドルかかり、 ウインがなんとしても避けたかったゴルフコースを削ることになっていた。

 加えて、新しい劇場に場所を譲るためホテルのコンベンション・ オフィースを移動させるのに1000万ドル支払わなければならないところだったとウインは言った。

 

 "Avenue Q"の客の入りが劇場キャパシティの50%しか入っていないという事実を越えて、 "スパムロット"の2月3日開演というスケジュールも"Avenue Q"の終演決定を早めた。

 "Avenue Q"の終演後、劇場は改装され、11月にリハーサルのために「スパムロット」のプロデューサー、マイク・ ニコルスに引き渡される。

 

 「私はウインの欲しいもの(劇場)を持っており、彼は私の欲しいものを持っていた。 私は独占公演権を取り戻したかった。」 マッカラムは言った。

 ウインが"Avenue Q"をブロードウェーからラスベガスに直接ひっぱってきた際に、 他の場所で公演しないという覚書を締結した。

 「今、私は私のショーについて世界中に話すことができる。そこはエキサイティングな場所である。 数日内に正式にロンドンで会社をオープンする。」とマッカラムは言った。

 マッカラムは、ウインが3ヶ月前に、"Avenue Q"のスペースを取り戻す決定をした際に、 ウイン内の別の場所を見つける試みがなされると言った。

 「我々は実際、400席のキャパをもつ劇場のスペースを見つけたが、小さすぎた。我々が必要なのは、 700席から900席だった」と彼は言った。

 「そのような場所を見つけることができないために、彼らは可能な優雅に終演するための動きを始めた。」と言った。

 彼は、適正な公演場所が見つかるなら、公演をラスベガスに残すという可能性を残したままにしておいた。

 「ベガスは、成長可能な市場である。ショーを見てくれた聴衆は熱狂的だった」とマッカラムは言った。

 

 しかし、ウィン・ラスベガスからの"Avenue Q"の早期撤退は、「ブロードウェイ・ウエスト」としてイメージをつくりあげるラスベガスの努力に、 必然的にヒビをいれることになるであろう。

 「ブロードウェイ・ウエスト」 という構想は、近時の「ウイ・ウイル・ロック・ユー」の終演や、昨年の 「フォービドゥン・ラスベガス」の不入りによる失敗、2000年に7ヶ月間パリス・ ラスベガスで公演した後に終わった「ノートルダム・デ・パリス」の財政難によって、 すでに傷がついている。

 昨年末に、ニューヨーク・ポストの批評家はラスベガスにおける"Avenue Q"の不入り問題の背景に関する辛らつな評価を寄せている。「"Q"は、ベガスの聴衆には高級すぎるかもしれない。彼らの好みは、 一般に動物の演技、セリーヌ・ディオン、そしてスロット・マシンである。」と書いている。

 しかしながら、マッカラムは「ブロードウェー・ウエストのコンセプトはまだ有効である。 しかしラスベガスはブロードウェーとは非常に異なっているから、ショーが適応しなければならない。」と信じている。

 「人々の注意持続時間は、ラスベガスにおいてすこぶる短い。」マッカラムは言った。「夕方(イブニング) に可能な限りたくさん見て、 行動するという考え方が存在する。したがって、ショーは、レストラン、クラブ、バー、 スパに勝たなければならない。」

 

 まさに、ウィンが、"Avenue Q"を終演する意図を発表した時に、別のブロードウェイ・ ショーがラスベガスでデビューした。ラクソーの「Hairspray」。マイケル・ジル、プロデューサーはその終演発表によって、 少しも脅威を感じていない。

 「それがうまくいかなかったというのは非常に残念だ。私は、そのショーがとても好きだ。しかし私は、それが指標だとは思わない。 」彼は言った。

 ジルは、"Avenue Q"がたくさんの聴衆を惹きつけられなかった理由の一つは、 人種差別と男性至上主義を含む重い問題と取り組んでいることであると信じている。「豪華で壮大な見せ場(スペクタクル)でない。それは、 ラスベガスにおけるエンターテイメントの定義にまったく合わない。」 と彼は言った。

 

 20年以上もリビエラで公演されている「スプラッシュ」を製作したラスベガスで長くプロデューサーをしているジェフ・ クタッシュは、"Avenue Q"は主に狭い聴衆にアピールすることによって邪魔されたと感じている。

 「ラスベガスにおいて成功するには、幅広い層にアピールしなければならない。」と彼は言った。

 「人々は、ラスベガスへ他では見れないものを見にくるのだ。」とクタッシュはいう。彼の最近の作品、 トップレスの「ヘッドライトと排気管」(ヘッドライト&テイルパイプ)は、スターダストで間もなく公演される。

 「"スプラッシュ"では、我々は、それを新鮮に保ち、リピート可能なビジネスとするために、頻繁に変化させた。」

 「単に、"Avenue Q"は成功するに必要な数の聴衆をひきつけるには難解すぎたということだ。 パペットショーはベガスには合うとは思わない。」と彼は言った。

 クタッシュは、「スパムロット」 にも同様の懸念を抱いている
「それも、難解すぎるあなたがモンティ・パイソンのファンじゃないとしたら、ショーを見にいくかい?」と彼は言った。

 しかしながら、ウインは、「スパムロット」をラスベガスでヒットさせるのに十分な数以上のパイソン・ ファンがいるということに賭けた。

 何が「スパムロット」をラスベガスに、特にウイン・ラスベガスに、よりフィットさせるであろうと信じているのか? と質問されたウインは簡潔に応えた「モンティ・パイソン」と…。

 

 1200万ドルのベガスサイズ版「アベニューQ」を終演させるにもかかわらず、 ウインは作品を失敗であるとは認めなかった。少なくとも毎週の利益が黒ではないにもかかわらず。 彼は、"Avenue Q"がマンダレイ・ベイの広く賞賛されている「マンマ・ミーア」 と同じ数の観客を毎週ひきつけていた事を強調した。

 しかしながら、「マンマ・ミーア」は週8回公演で6400チケットを販売するが、「アベニューQ」 は週10回公演で同じ数にとどく。

 ショーに来る客達が食事とカジノに費やす額という大きな利益をもたらす「アベニューQ」の失敗は、苦痛を伴うものの、 決定を容易にしたとウインは言った。

 「誰が私以上に"Avenue Q"を愛しているか?私は11回も見た。しかし、ビジネスはビジネスだ。それに、 これからは国中の人が"Avenue Q"を見ることができるようになる。」とウインは言った。

 

 ラスベガス内外の人が、何が"Avenue Q"という作品を悪くしたのかを考える中で、 長い間ローカルで広報を行っているフランク・ライバーマンの特異な考えの一つがある。きわどい売込み(マーケティング) によって傷つけられているラスベガスのショーをイメージすることは難しいが、ライバーマンは「アベニューQ」のからかい 「毛むくじゃらのすべて」という広告においてまさにそれが生じていると考えている。

 「それはら、ショーをダーティ(卑猥な)パペットショーのように思わせる。」と彼は言った。

 そして、ラスベガスでにおいて、聴衆はちょっと好色なダーティについては問題にしないが、パペットを使って行うことになると、 明らかに違う。

 

 「ベガスでショーが成功するためには、"Avenue Q"を見たい!と思う客層が狭すぎた」というのが結論でしょうか。 一般の多く人は、ラスベガス以外では見ることが出来ない非日常を求めてやってきているのだから、それに応えなければならない。特に、 アメリカ人以外もマーケティングの対象に入れるなら、英語力が必要なものであってはならない。ということなんでしょうねぇ~。

 ということは、英語力があまりなく、スペクタクル大好きといううちの嫁さんが「見たい!」あるいは「見てもいいなぁ~」 と思うようなものでないとヒットは難しいということなんでしょうか(笑)

 

 記事にも書かれていますが、スパムロット@Wynnもこけるでしょうね(汗)

 私は「モンティ・パイソンの笑」も結構好きなんですが、「モンティ・パイソンってなに?」っていうのが嫁さんの反応ですから(笑) 「しょうむない!」と一笑にふされるのがおちでしょうね。

 昔々、相当昔、私がティーン・エイジャーだったころ、「モンティ・パイソン」を深夜番組でやっていました。 その放送後の余った時間の1コーナーとしてタモリの4ヶ国語マージャン芸などを放映していたのを思い出します。